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Vehicle bottom Record and
Inspection support System
車両下部検査支援装置
(VRIS)

Products & Solutions製品・ソリューション

高品質な画像ソリューションで
自動車流通に信頼性と持続可能性を

自動車の整備・点検において、自動車の下回りの点検は、大きな手間を生むものでした。ジャッキアップする、ピットに入れるなどして作業者が車両の下に潜り込み、つらい体勢でチェックを行う。車両下部検査支援装置(VRIS)(※)は、最新のデジタル技術により、作業者をそれらの負担から解放するソリューションです。装置の上を通過するだけで、自動車の下回りの画像を撮影。全体の1枚画像と、多視点からの広角画像の2種類の画像によって、高品質で効率的な自動車点検をサポートします。
また、新車の出荷時から中古車流通に至るまで、この画像データを利活用し情報共有することで、消費者に対する検査結果の透明性を確保することも可能です。

利用イメージ

VRISは屋内でご使用いただく製品です。

利用イメージ

POINT❶ ラインカメラ

車両下部の全面をシームレスに、高画質で撮影。見たいところのズームアップが可能。

ラインカメラ

POINT❷ エリアカメラ

多視点撮影のため、見たい位置からの確認、真下からでは見えない部品の側面も確認が可能。

エリアカメラ

必要とされる背景

整備士の人手不足が深刻な問題となっている自動車関連業界では、自動車の整備・点検作業における業務環境の改善や作業の軽減・効率化が必要不可欠な課題となっています。また、近年、自動車流通において、一部の業者による不祥事や不正車検などが発生しました。業界全体の信頼回復のためにも、品質を担保し情報を透明化するための取り組みが必要不可欠になっています。

このような課題を解決します

課題
車両下回り点検・整備の負担大
▶
解決
装置の上を通過するだけで撮影完了
整備負担を大幅に削減します
課題
品質・消費者への検査結果の
透明性が確保し切れていない
▶
解決
2種類の画像と
データ活用によって、
ビジネスの透明性を確保します

関連資料

車両下部検査支援装置(VRIS) 概要資料
(PDF形式、7.674kバイト)PDF

車両下部撮影装置(UVSS)概要資料
(PDF形式、524kバイト)PDF

INNOVATION STORY
開発ストーリー

車両下部検査支援装置(VRIS) 開発担当の各社員
車両下部検査支援装置(VRIS)
開発担当の各社員

開発の経緯

私たちの技術で
社会のために、できることがある
「車両下部検査を効率的に行うことができないだろうか」
きっかけは、中古車オークション企業や、自動車メーカー、物流会社からの多数の問い合わせだった。日立アドバンストシステムズには、セキュリティ目的で車両の底面を撮影する「UVSS(車両下部撮影装置)」という製品があり、そのソリューションを自動車の点検や整備に利用できないか、というものだった。しかし、セキュリティ目的のUVSSの画像ではこのニーズに応えることができなかった。
VRISの開発に携わった技術者は、当時をこう振り返る。
「多くの声を受けて、市場調査を開始したところ、『整備士不足』や『情報の透明性の確保』などお客様が抱える課題が深刻なものであることを知りました。私たちの技術への期待に応えたい。その技術で、社会のために確かな価値を生み出したい。その想いが開発プロジェクトの原点であったように思います」

私たちの
優位性

謎の光の正体は?
多様な技術のスペシャリストが集う日立アドバンストシステムズ だが、光学に関してはその限りではない。日立製作所の中央研究所に相談したり、あらゆる文献や論文を読み漁ったりして、未知の世界を切り拓いていったのだという。
カメラのサイズと画像はトレードオフの関係にあり、車高を考慮した限られたスペースの中、最適なラインカメラを選定する。
どのような車を撮影する際も、ゆがみを最小限に抑える工夫をする。開発プロセスは困難の連続だった。とくに苦労したのは、撮影時のノイズを解消すること。
VRISは、限られたスペースで機能を実現するためにカメラや照明の配置を工夫し、ミラーも組み合わせて試行錯誤することでやっと完成した。しかし、いざ撮影してみると何度やっても画像ノイズが発生してしまったのだという。
「原因が究明できたのは、本当に偶然の産物でした。そろそろミラーが汚れてきたので、掃除をしたところ、くっきりと美しい画像が撮影できるようになっていました。ミラーに付着した本来は光らないはずの小さなほこりが照明に照らされ、太陽に照らされた金星みたいにくっきり写ってノイズとして現れていたのです。『見えないはずの小さなものが写る』。その事実は目から鱗の気づきでした」
さらに、試行錯誤を重ねたのは、通過速度の変化による画像の歪みを補正するアルゴリズムの構築だ。車が装置の上を通過する速度は一定ではない。めざしたのは、誰が使っても、同じ品質の画像が撮影できる装置。よりよい価値にこだわり続ける姿勢は、日立アドバンストシステムズならではの強みだ。
「ああでもない、こうでもないと自社の駐車場で何度も実地試験を繰り返したことが記憶に残っています。ただ、苦しいと思ったことはなかったですね。今までに経験したことのない技術や仕事に向き合うことは、私たちにとって何よりの喜び。チームみんなの力を合わせて、最適なアルゴリズムを構築できたと自負しています」
車両下部検査支援装置(VRIS) 開発担当の各社員

開発への想い

まだゴールじゃない
より多くの人にこの価値を届けたい
自動車の下回り全体の1枚画像と、多視点からの広角画像の2種類の画像によって、高品質で効率的な自動車整備をサポートする。数多の困難を乗り越えて、VRISは完成のときを迎えた。しかし、日立アドバンストシステムズの技術者たちは、ここがゴールだとは考えていない。
より多くの人にこの価値を提供し、社会の課題を解決することなくして、この物語は完結しない。そのソリューションは今なお、さらなる進化を模索している最中だという。
「自動車だけでなく、鉄道など他の分野での活用も検討していますし、撮影した画像を活用したDXの検討も始まっています。今後は、異常個所の抽出、点検や評価の自動化、故障の予兆検知などに貢献していきたいと考えているのです。日立グループには、卓越したハードウェア・DXの技術があります。データを取得し、活用することで、VRISの可能性は無限に広がっていきますからね」

※VRISはVehicle bottom Record and Inspection support Systemの略称です。

※VRISは日立アドバンストシステムズの登録商標です。

※VRISは特許出願済です。(2025/3/28現在)